The Man Who Fell From The Wrong Side Of The Sky:2017年9月16日分

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2017/9/16(Sat)

[音楽][映画] Jim Jarmusch/Gimme Danger

ジャームッシュ監督の映画「 Gimme Danger」を観てきたよ。

この映画は (Iggy &) The Stooges(イギーとバカの集まり) というバンドのドキュメンタリーで、タイトルは彼らのアルバム「Raw Power(淫力魔人)」の「Gimme Danger(やばいことが好きさ)」という曲にちなんでいる。

花の金曜日ってのもあってお客さんけっこう入っててしかも女性が多く驚いたんだけど、そこではたと気付いた。 別に The Stooges が好きで観に来てるわけではなく、趣味欄に「好きな映画: ジャームッシュ」とか書いちゃうバブル世代の残滓やね…

最初に書いておくとワイはこの主人公である(Iggy & )The Stoogesというバンドは死ぬほど好きだけど、ジャームッシュという映画監督はまったくもって好みじゃない。 どんな題材であろうがとにかく小津調のつもりか知らんけどひたすら退屈で睡魔との戦いにさせてしまうクソ監督だと思っている、唯一「 Dead Man」という映画だけは好きなんだがそれはサウンドトラックを担当した Neil Young の功績が大きい。

そしてこの映画自体の出来映えもハッキリいって雑コラレベルよな、 以前書いた同ジャンルの映画「Joy Division」の Grant Gee 監督のような丁寧な映像のパッチワークそしてわざわざライブミックスして当時の空気感を再現なんて、ジャームッシュには無理よ無理無理カタツムリってのは知ってたけどさ。 だけどライブ映像をやたらコミカルになるような早回し加工してみたり、昼間に家で暇を持て余してるジジババ向けの下世話な情報番組のワンコーナーみたいな再現アニメ仕立てにしてみたり、映画やテレビからのコラージュ映像をはさんでみたり、本当にいつもの オナニージャームッシュ節だった、ほんとバカじゃねぇの。

結局はジャームッシュが映像にしたかったのって60〜70年代のThe Stoogesじゃなくて、30年を経て再び集まった The Stooges 同窓会の「戦友たちの絆 *1」でしかないんだと思う。 ということで小津「東京物語」ならぬジャームッシュ「デトロイト物語」という絆(笑)喪失感(笑)なひっどいゲテモノ料理喰わされてしまった感。

インタビュー自体も日本語版WikiPedia級のうっすいうっすい内容だしなかなかキツイものがあるし、入門編として観るにしてもいろいろ情報不足過ぎる。 パンフのアルバム紹介も、The StoogesにおいてはRaw Powerの次のアルバムとして準備されてた幻の4thに向けてリハーサルされてた曲も重要なのに一切無いしね、一応劇中では「I Got A Right」とか掛かったけど。

でもまぁテレビの番組でインタビュアーに自身の功績は?と問われて

60年代を滅ぼした

とドヤ顔で答えるシーン(同席したDavid Bowieもこれには大爆笑)が流れて救われましたね、そう彼らは本当に古きを打ち壊して新しい音楽を作ったのよ。

余談だけど、このバンドの崩壊期にデイヴ・アレクサンダー(脱退した直後に急死)に代わって加入したジェームス・ウィリアムソンのキャリアはほんと凄い。

彼はバンドがレコード会社をクビになったことで金に困り、発表する宛の無くなった音源をあちこちの海賊盤業者に売り飛ばしたりもした結構アレなお人。

しばらくはスタジオの録音技師として音楽業界に携わるも、のちに完全に足を洗って大学で電子工学を専攻する。 そしてなんとあの AMD に勤め CPU などの開発に携わり、1997年からは SONY の副社長に引き抜かれて Blu-ray の技術標準化作業などに携わってたという大出世。

にもかかわらず彼は再びイギーに誘われ、2009年のロン・アシュトンの死去によって空いた「世界で最も過激なロックバンド」のギタリストの座に「悩みぬいた挙句にSONY副社長を早期退職して」再び復帰したという。 しかももう30年以上ギター弾いてなかったのに。

詳しい事は「 ロックバンドに戻ったソニー元副社長」を読んでどうぞ。

なおこれが後のSONY副社長が書いた「見つけ次第皆殺し」という曲です。

ヒャッハー!


*1:イギーは「文字通り同じ釜の飯を食った」「ギャラは完全に等分」「政治的な意味ではなく純粋な共産主義」と表現してる


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